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学会紹介

学会員の皆様へ 理事長からのご挨拶

2021理事長写真公益社団法人日本産業衛生学会 理事長 森 晃爾

産業衛生学は、産業社会で働く人の健康と関連した課題を解決するための実学の性格があり、働く人を取り巻く社会環境の変化によって、取り組むべき課題が変化します。近年の技術革新や高齢化によって、働く人の健康と関連した課題解決の重要性が高まっており、産業衛生学に対する社会からの期待が益々大きくなっています。理事長としての任期中、会員の皆さんと一緒に、この期待に応えていきたいと思います。

さて、学会は会費を支払った会員自身で運営されるという性質があり、企業の事業のように事業者の立場と顧客の立場があるわけではありません。そのため、会員がより能動的な姿勢で学会活動に参画することによって、学会は発展し、会員自身も学会から得るものが大きくなります。そのような前提からすれば、本学会には会員のために二つの役割があるのではないかと思います。

第一に、産業保健または産業衛生の専門職としてのアイデンティティの基盤としての役割です。いうまでもなく、産業保健活動は、多職種連携で行われることに特徴があります。そのことを反映して、活動の基盤となる学術団体である本学会も様々な職種の会員で構成されています。そして、それぞれの主となる活動の場が研究フィールドであっても、実務フィールドであっても、自身の専門性を活かして働く人の健康確保に貢献したいとの想いは同じです。産業保健または産業衛生に携わるできるだけ多くの専門職に会員となっていただき、専門職としてのアイデンティティの基盤としていただきたいと思います。

第二は、未来に向けた貢献の場としての役割です。会員の皆さんは、それぞれのフィールドにおける活動の中で、直面する課題解決の努力をされていると思います。そのような現在に対する努力に加え、明日、来月、来年に向けたもう一歩の努力をすることによって、未来への貢献を果たすことができるはずです。そして、それは会員の誰もができることです。たとえば、日々の経験を学会や雑誌で発表することで、少なくとも同じような課題に直面した次の世代がよりよい解決を導くことができます。研究活動、人材養成、社会への発信のどれもが、未来への貢献になります。多くの会員の皆さんに、本学会を更なる社会貢献の場として活用していただきたいと思います。

日本産業衛生学会の発展は、学会を自身のアイデンティティの基盤として、また未来への貢献の場として位置付ける会員の参画にかかっています。私も理事長としての任期中、そのような場づくりに尽力したいと思います。