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東日本大震災に関連した作業における労働者の熱中症予防対策について(pdf)

平成23年6月23日


(社)日本産業衛生学会
理事長 大前和幸


東日本大震災に関連した作業における
労働者の熱中症予防対策について


 東日本大震災からの復旧及び復興のための作業では、これまで身体負荷のある作業の経験が少ない者が、一部は電離放射線に対する保護具や防護服を着用しながら従事している。今後は、梅雨明けから急に高温かつ多湿な環境が生じることが予想され、熱中症の発生が増加するおそれがある。また、本年は、夏期に電力不足が予想されていることから各地で節電対策が実施され、そのことに伴って職場の温熱環境が不快なものとなり、作業効率の低下、作業ミスの増加、作業中の事故の発生を来すことも考えられる。
 このようなことから、本学会では、温熱環境研究会による検討に基づき、これらの作業において事業者が講じるべき労働者の熱中症予防対策を別紙1~3の通りとりまとめた。
 各事業者がこれらを参考にして、熱中症の発生が防止されることを期待する。


被災地復興作業において事業者が講ずべき労働者の熱中症予防対策(別紙1)


1) 作業環境の温熱条件を評価し、改善すること

WBGT(暑さ指数)*を測定すること
 *屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合
  WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
 屋外で太陽照射のある場合
  WBGT=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
環境省熱中症予防情報サイトでWBGT(暑さ指数)の予報値や速報値を参照すること
毎日の測定値を記録すること
職場の温熱条件を作業者が確認できるように表示すること
屋根、ひさし、いわゆる緑のカーテン等を設置して、風通しのよい日陰を確保すること
建物の外壁に断熱材や熱交換塗料の使用を検討すること
スポットクーラーや大型ファンを使用すること
ミストの噴霧の実施等を検討すること

2) 作業の負荷(身体強度、作業時間、保護具、服装等による負荷)を減らすこと

WBGTが27.5°Cを超える環境では、全身作業や身体強度の高い作業を行わせないこと
なるべく涼しい時間帯を選んで作業を行わせること
連続作業時間をなるべく短くすること
労働衛生保護具は、全面マスクは電動ファン付きのものとしたり簡易防じんマスクは排気弁付きのものとしたりする等なるべく負担の少ないものを選択すること
作業服は、なるべく通気性と透湿性がよい生地のものを着用させること
1時間に5~10分程度は暑熱な作業を休止させること
現場の管理監督者が暑熱な作業の休止を判断できるようにすること
作業者を交替させること
一人だけで作業をさせないこと
作業の初日から一週間および急に暑くなった時は作業を短縮すること

3) 作業に合わせて保冷用品を選択してすべての作業者が使用できるようにすること

例:固体が液体に相変化する際の蓄熱作用を利用した吸熱剤
  冷蔵庫で冷却する冷媒
  送風機等を組み合わせた作業服や帽子
  汗を効率的に吸収して気化させる素材のタオル
  水に濡らして頭や首に巻くタオル

4) 作業現場の近くに快適な休憩室を設置すること

作業現場に近く、日陰で風通しのある涼しい場所に設けること
室温を24~26℃くらいに調節すること
備品として、団扇、扇風機、冷蔵庫、飲料水、長いす、タオル、おしぼり、冷感用品、体重計、体温計、体温計用のアルコール消毒液等を備えること
休憩中は、上着や靴下を脱がせて安静にできるようにすること
水をかぶることができるようにすること
冷たいタオルを当てたり扇風機の風に当たったりして体温を正常化させること
汗をかいたシャツはこまめに着替えさせること

5) 作業者に水分と塩分(ナトリウム)を補給させること

スポーツドリンクや経口補水液を冷やしてポットや携帯保冷容器に入れて作業現場に準備すること
梅干、ごま塩、塩の錠剤、飴、味噌、味付け昆布等の塩分を準備すること
作業前からスポーツドリンクや経口補水液を飲ませ始め、20~30分ごとに150~250mLずつ飲ませること
体重を測定させて、汗で失われた水分と塩分に相当する量を補給させること
排尿回数が増えることを気にして水分を摂取しないことがないように注意すること

6) 作業者に日常生活で体温と体重を維持するよう指導すること

睡眠を6時間以上は確保させること
熱帯夜はエアコンや扇風機の利用を促すこと
規則正しい食事をさせること
入浴後、就寝前、起床時に水分を補給させること
アルコールの飲み過ぎに注意させ、飲んだ後には十分な水分を補給させること
体温と体重を測定させて、その日のうちに正常に戻すことをめざさせること

7) 管理監督者に作業者の体調を把握させ作業を調整させること

作業者の体調はチェックリストなどを用いて確実に把握すること
作業を始める前に、作業者の体調を尋ねさせて、食事をしていない者、脱水・下痢・発熱の症状がある者、睡眠不足の者その他の体調不良の者は正直に申告させ、それらの者には暑熱な作業をさせないこと
定期的に現場を巡視させ、WBGT計等で環境を測定させること
作業者にときどき声をかけさせて、暑さや疲労感の聴取、体調の観察、水分摂取の勧奨、作業方法の改善等を指導させること
現場の環境や作業者の体調を参考に、工程を見直したり作業や休憩の方法を調整したりさせること
作業者同士にもお互いの様子に留意させて発症者の早期発見に努めさせること

8) 作業者と管理監督者に教育を行うこと

熱中症を予防する方法について教育を行うこと
熱中症が発生した場合の救急処置、連絡方法、救急搬送の方法について周知させること

9) 次の体調が不良な作業者は暑熱な作業に従事しないことを申告できるようにすること

風邪症状がある者
睡眠不足の者
脱水状態が疑われる者
出勤前に食事をしていない者
下痢や発熱がある者
前日のアルコールの影響が残っている者
1分間の心拍数が継続して(180-年齢)を超えている者
作業強度がピークを迎えて1分後の心拍数が120回を超えている者
休憩中の体温が作業開始前の体温に戻らない者
作業開始前より1.5%を超えて体重が減少している者
強い疲労感、吐き気、めまい等の熱中症を疑う症状のある者

10) 妊婦、45歳以上の者、肥満の者、次の持病がある者等は、産業医や主治医の意見を求め、その指示に基づいて必要な措置を講じること

脳、心臓(高血圧症を含む)、腎臓、消化管、神経の疾病、糖尿病等がある者




原子力発電所復旧作業において事業者が講ずべき労働者の熱中症予防対策(別紙2)


1) 作業環境の温熱条件を評価し、改善すること

WBGT(暑さ指数)*を測定すること
 *屋内の場合及び屋外で太陽照射のない場合
  WBGT=0.7×自然湿球温度+0.3×黒球温度
 屋外で太陽照射のある場合
  WBGT=0.7×自然湿球温度+0.2×黒球温度+0.1×乾球温度
環境省熱中症予防情報サイトでWBGT(暑さ指数)の予報値や速報値を参照すること
毎日の測定値を記録すること
職場の温熱条件を作業者が確認できるように表示すること
屋根、ひさし、いわゆる緑のカーテン等を設置して、風通しのよい日陰を確保すること
建物の外壁に断熱材や熱交換塗料の使用を検討すること
スポットクーラーや大型ファンを使用すること

2) 作業者の負担(身体強度、作業時間、保護具、服装等による負荷)を減らすこと

WBGTが27.5℃を超える環境では、全身の作業や身体負荷の高い作業を行わせないこと
なるべく日陰で作業を行わせること
なるべく涼しい時間帯を選んで作業を行わせること
連続作業時間をなるべく短くすること
呼吸用保護具は、なるべく作業者が負担なく吸気できるものを選択すること
保護服は、なるべく通気性と透湿性がよい生地のものを着用させること
1時間に5~10分程度は暑熱な作業を休止させること
一人だけで作業をさせないこと

3) 作業に合わせて保冷用品を選択してすべての作業者が使用できるようにすること

例:固体が液体に相変化する際の蓄熱作用を利用した吸熱剤
  冷蔵庫で冷却する冷媒
  体表面に冷水を循環させる保冷服

4) 作業現場ごとに保護具を装着したまま日陰で座ることができる休憩場所を指定すること
5) 作業現場の近くに保護具を外して休憩できる冷房の効いた場所を設置すること

室温を24~26℃くらいに調節すること
備品として、団扇、扇風機、冷蔵庫、飲料水、長いす、タオル、おしぼり、冷感用品、体重計、体温計、体温計用のアルコール消毒液等を備えること
飲料水を十分に用意して自由にアクセスできるようにすること
スポーツドリンクや経口補水液を冷やして準備し、汗で失われた水分と塩分に相当する量を補給させること
梅干、ごま塩、塩の錠剤、飴、味噌、味付け昆布等の塩分を準備すること
作業前からスポーツドリンクや経口補水液を飲ませ始め、休憩のたびごとに250~500mLずつ飲ませること
体重を測定させて、汗で失われた水分と塩分に相当する量を補給させること
排尿回数が増えることを気にして水分を摂取しないことがないように注意すること
冷たいタオルを当てたり扇風機の風に当たったりして体温を正常化させること

6) 作業者に日常生活で体温と体重を維持するよう指導すること

睡眠を6時間以上は確保させること
熱帯夜はエアコンや扇風機の利用を促すこと
規則正しい食事をさせること
入浴後、就寝前、起床時に水分を補給させること
アルコールの飲み過ぎに注意させ、飲んだ後には十分な水分を補給させること
体温と体重を測定させて、その日のうちに正常に戻すことをめざさせること

7) 管理監督者に作業者の体調を把握させ作業を調整させること

作業者の体調はチェックリストなどを用いて確実に把握すること
作業を始める前に、作業者の体調を尋ねさせて、食事をしていない者、脱水・下痢・発熱の症状がある者、睡眠不足の者その他の体調不良の者は正直に申告させ、それらの者には暑熱な作業をさせないこと
定期的に現場を巡視させ、WBGT計等で環境を測定させること
作業者にときどき声をかけさせて、暑さや疲労感の聴取、体調の観察、水分摂取の勧奨、作業方法の改善等を指導させること
現場の環境や作業者の体調を参考に、工程を見直したり作業や休憩の方法を調整したりさせること
作業者にもお互いを監視させて発症者の早期発見に努めさせること

8) 作業者と管理監督者に教育を行うこと

熱中症を予防する方法について教育を行うこと
熱中症が発生した場合の救急処置、連絡方法、救急搬送の方法について周知させること

9) 次の体調が不良な作業者は暑熱な作業に従事しないことを申告できるようにすること

風邪症状がある者
睡眠不足の者
脱水状態が疑われる者
出勤前に食事をしていない者
下痢や発熱がある者
前日のアルコールの影響が残っている者
1分間の心拍数が継続して(180-年齢)を超えている者
作業強度がピークを迎えて1分後の心拍数が120回を超えている者
休憩中の体温が作業開始前の体温に戻らない者
作業開始前より1.5%を超えて体重が減少している者
強い疲労感、吐き気、めまい等の熱中症を疑う症状のある者

10) 45歳以上の者、肥満の者、次の持病がある者等は、産業医や主治医の意見を求め、その指示に基づいて必要な措置を講じること

脳、心臓(高血圧症を含む)、腎臓、消化管、神経の疾病、糖尿病等がある者




節電下の事務作業において事業者が講ずべき労働者の熱中症予防対策(別紙3)


1) 午後の作業時間を調整すること

時間外の作業をなるべく減らすこと
労使協定等に配慮した上で労働日や労働時間の配分を変更すること
夏時間制を導入し、終業時間を早めること
出張や顧客企業等の訪問は自宅からの直行や直帰を許可すること
在宅で可能な業務を選定して許可すること
夏期休暇の取得を促すこと

2) エアコンの設定温度に頼らず、作業者がいる場所の環境条件を測定し、快適に維持すること

室温は28℃以下に維持すること
湿度は70%以下に維持すること
室温が28℃に近いときは湿度がなるべく低くなるように維持すること

3) エアコンが効きやすくなるように、次のような工夫をすること

作業者のいる場所を集約して冷やす空間を区切ること
作業者のいる時間を短くして冷やす時間を限定すること
事務機器類は作業者からなるべく離して置くこと
放射熱や熱風は衝立で遮断すること
蒸気や熱気は上方から排気すること
使用頻度の低い機器の電源は切ること
 例:給湯器、自動販売機、テレビ、プロジェクタ
発熱量の少ない省電力型の機器を導入すること
 例:LEDランプ
部屋に出入りする扉を限定すること
扇風機を併用して冷気の対流を促すこと

4) エアコンを使用しないときは、窓やドアを開き扇風機や換気扇で風通しを確保すること
5) 窓からの直射日光を遮ること

窓に遮光フィルムを貼付すること
カーテン、ブラインド、すだれを使用すること
ベランダに日よけのプランタを設置し、つる植物を植えること
6) 外出者には直射日光の回避と汗の蒸発を促すこと
日陰を選んで歩くよう指導すること
日傘や日よけ付きの帽子を使用させること
団扇や扇子を携行させること
汗を効率的に吸収して気化させる素材のタオル等を使用すること

7) クールビズの服装を心がけさせること

風が服の中にも通るように半袖で襟元を開放的にすること
軽装でも可能な業務を選定し許可すること
通気性と透湿性がよい生地のものを着用させること
赤外線を吸収しにくい白地のものを着用させること

8) 作業者に日常生活で体温と体重を維持するよう指導すること

睡眠を6時間以上は確保させること
規則正しい食事をさせること
入浴後、就寝前、起床時に水分を補給させること
アルコールの飲み過ぎに注意させ、飲んだ後には十分な水分を補給させること
体温と体重を測定させて、その日のうちに正常に戻すことをめざさせること

9) 作業者と管理監督者に教育を行うこと

熱中症を予防する方法について教育を行うこと
熱中症が発生した場合の救急処置、連絡方法、救急搬送の方法について周知させること

10) 次の体調が不良な者や持病がある者等は、産業医や主治医の意見を求め、その指示に基づいて必要な措置を講じること

風邪症状がある者
睡眠不足の者
脱水状態が疑われる者
出勤前に食事をしていない者
下痢や発熱がある者
前日のアルコールの影響が残っている者
強い疲労感、吐き気、めまいなどの等の症状のある者
脳、心臓(高血圧症を含む)、腎臓、消化管、神経の疾病、糖尿病等がある者

 
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