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産業保健推進センターの大幅縮小に関する理事会声明 (pdf)


日本産業衛生学会 理事会声明


独立行政法人労働者健康福祉機構産業保健推進センターの大幅縮小について


 独立行政法人労働者健康福祉機構が運営する産業保健推進センターは全国すべての都道府県に設置され、窓口相談・実施相談、研修、情報の提供、広報・啓発、助成金の支給、調査研究、地域産業保健センターの支援の7つの事業を通じて、産業医、産業看護職、衛生管理者等の産業保健関係者を支援するとともに事業者等に対し職場の健康管理への啓発を行い、産業保健の推進に大きく寄与してきた。特に、平成21年度からは職場におけるメンタルヘルス対策についての総合支援窓口である「メンタルヘルス対策支援センター」をセンター内に設置し、従来に増して一層、労働者のメンタルヘルスの保持・増進、自殺予防のための活動を行っている。産業保健活動は、職場環境や働き方を改善することにより労働者が健康的な就業生活を送ることができるようにするための活動として国際的にも確立しており、わが国では、法令に基づいて事業者が労働衛生管理を実施することとされているが、その専門家は少なく、地域によっては産業保健推進センターの産業保健相談員のほかには産業医学や労働衛生工学の専門家がいないところが多い。
 行政刷新会議による独立行政法人を対象にした事業仕分けに先立ち、平成22年4月15日に開かれた厚生労働省による独自の事業仕分けで、独立行政法人労働者健康福祉機構は全国47カ所ある産業保健推進センターを平成23年度(注)までに3分の1程度に集約するとの方針を打ち出した。これを受けて4月23日に実施された行政刷新会議による事業仕分けでは、「事業規模は縮減。省内仕分け結果1/3縮減にとらわれない更なる削減を求める。」との評価結果が出た。しかしながら、地域の産業保健の推進を支えてきた産業保健推進センターを減らすことは、産業保健の停滞、ひいては労働者の健康の保持・増進に大きな負の影響を与える可能性がある。特に、廃止、統合される産業保健推進センターは過疎県のものに集中する可能性があり、産業保健の地域格差を一層拡大する結果を招くことが懸念される。また、事業場における労働者のメンタルヘルスの普及・推進を大きく支えていた産業保健推進センターの大部分を廃止した上で、自殺予防を含めた労働者のメンタルヘルス対策、過重労働等による健康障害の予防といった重要課題に今後どのように対応するのかについての方針は不明確なままである。
 こうした懸念から、独立行政法人労働者健康福祉機構およびこれを主管する厚生労働省に対しては、産業保健推進センターを3分の1程度に集約するとの現在の「改革」案を見直すことを強く求める。万一、産業保健推進センターの集約が不可避の場合には、この事業の目的が未だ十分達成されていない現状に鑑み、代替施策を国民・労働者に示す必要があると考える。また、行政刷新会議に対しては、安易で、悪影響の懸念される産業保健推進センターの集約以外の手段により、効率化のための議論を進めていただけるよう強く要望するものである。
以上理事会の議を持って意見表明とする。


平成22年4月29日


日本産業衛生学会 理事長 大前和幸




注:その後行政刷新会議HPに公開された事業仕分け時の厚生労働省側の資料によれば平成25年度をめどにすると記載されている。
 
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